野球肩(中高生おとなver.)1~まずは解剖編~

こんにちは!吉田です。

今日は野球肩について、お話しします。

<症例1>

30代男性。製造業。

高校時代、硬式野球部に所属。ブランク数年の後、社会人になり軟式草野球を始める。ピッチャーで登板するも、まもなく投球時に痛みが発生。しばらく、だましだまし続けてきたが、塁間も思うように送球が出来なくなり来院。マッサージ療法、はり治療、トレーニング指導、フォームの改善、約半年の投球制限と地道なトレーニング継続により高校時代をしのぐ球速でピッチャーに返り咲く。

なにがどうなってるの?

まず、肩の骨格を見てみましょう。肩の関節は大きく分けて3つあります。

①みなさんが一般的に肩の関節はここだ!と思われる部分、腕の骨(上腕骨)と肩甲骨が関節しているところ(肩甲上腕関節)

②肩甲骨と鎖骨のつなぎ目の関節(肩鎖関節)

③鎖骨と胸骨のつなぎ目の関節(胸鎖関節)

そうなんです。広い意味での肩は上腕骨、肩甲骨、鎖骨までからみます。(思ったよりデカい!)

ここまでが、解剖的な関節です。が、肩にはこれとは別に機能的な関節というものがあと2つあります。

④腕の骨(上腕骨)が肩甲骨の肩峰と呼ばれるところの下に滑り込む関節(第2肩関節)

⑤肩甲骨が肋骨の表面を滑る関節(肩甲胸郭関節)

からだの中の多く関節は、骨と骨との間に硬めのバンド(靱帯)が付いていてしっかりつないでいます。が、肩の場合、「鎖骨ー肩甲骨」と「鎖骨ー胸骨」には靱帯が付いているものの、①「肩甲上腕関節」にはがっちりした靱帯がありません。では、腕は胴体にどうやってくっついているのか??

ここで出てくるのが、筋肉です。

では、みなさんに一番なじみのある肩関節の①肩甲上腕関節についてみてみましょう。

外からみえる肩のラインを作っている主な筋肉としては僧帽筋や三角筋、大胸筋などがありますが、その大きな筋肉達(アウターマッスル)をはがすと出てくるのが、腱板といわれるわりと薄っぺらい筋肉達(インナーマッスル)です。

この肩のインナーマッスルは

①「棘上筋」②「棘下筋」③「小円筋」④「肩甲下筋」

の4つひとまとめで腱板といわれることが多いのですが、肩甲骨に上腕骨を引きつけてぶら下げているとても重要な筋肉です。肩の動かし始めに、腕の骨のねもとを一瞬ふっとからだに引きつけてをスルッと関節の中に入れ込む役割をになっているため、この腱板がないと、アウターマッスル(僧帽筋や三角筋、大胸筋など)がどんなに大きくても腕が上がりません。

薄っぺらくてもすごいヤツなんです。

右の側面から見た図が下にありますが、

腕のねもとにぐるっと付いているのがよく分かります。そのため肩をねじったりするときにも使うのですが、この腱板の4つの筋肉自体のバランスやアウターマッスルとのバランスが悪いとうまく引きつけられず、安定してひねれないため、野球の場合、投球に支障を来すというわけです。(やっとスポーツの話が出てきた…)

野球の投球はもちろんですが、テニスのサーブ、バレーボールのアタック、水泳のストロークなど腕を上に担いで下に振り下ろす動作でも同じことで、腕がすっぽ抜けないように引き止める役割もあります。

では、アウターマッスルたちは?

もちろん大きな筋肉たちですから、力強いパフォーマンスやスピードのある動きを生み出すためにとても重要な役割を担っています。

これらは肩の他の関節②③へも影響力があり、肩甲骨にも鎖骨にも僧帽筋や三角筋、大胸筋などがくっついています。②「肩鎖関節」などはほぼ動きませんが、肩甲骨と鎖骨のセットで胸骨との③「胸鎖関節」を支点に上下左右前後に動きます。腕を上げる動きでは、なんとその1/3がこの肩甲骨と鎖骨の動きで成り立っているんですよ!

ということは、このアウターマッスル達の柔軟性が足りないとうまく腕が動かないということですね。

と、まぁここまで、中高生から大人の野球肩の原因になりがちな筋肉を中心に解剖的なことをお話ししてきました。

この辺りの組織が傷ついたり、炎症を起こしたりすることが多いのですが、なかには関節のクッション材や骨自体に傷が付いている場合もあります。
その損傷程度や場所によってどの程度回復が可能なのかが変わってくるため、自分の状態を正確に知ることは、からだを動かすことが大好きな方にとって、その後のスポーツ人生を左右する大事なポイントるでしょう。

症状によっては手術が必要であったり、残念ながら思ったようにはスポーツが出来ない場合もありますが、あきらめていた全力投球が出来るようになる方がたくさんいらっしゃいますから!

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