野球肩(中高生おとなver.)2~つづいて実践編~

こんにちは!吉田です。

今日は前回に引き続き野球肩おとなver.について、お話しします。

前回までのおはなし…

<症例1>

30代男性。製造業。

高校時代、硬式野球部に所属。ブランク数年の後、社会人になり軟式草野球を始める。ピッチャーで登板するも、まもなく投球時に痛みが発生。しばらく、だましだまし続けてきたが、塁間も思うように送球が出来なくなり来院。マッサージ療法、はり治療、トレーニング指導、フォームの改善、約半年の投球制限と地道なトレーニング継続により高校時代をしのぐ球速でピッチャーに返り咲く。

よくある野球肩は筋肉の状態に原因があることが多いのでその解剖を解説。そちらをご覧になりたい方は→「野球肩(おとなver.)1~まずは解剖編~」へGO!

では本題へ…

放っといたらどんなことになるの?

大きな損傷がなければ、日常生活には問題ありません。スポーツの中でも傷みを出す動作をしなければ大丈夫、つまり野球であればボールを投げなければ、バッティングをしていても問題無いという方が多いです。

が、やはりここを覗いて下さったのはスポーツを気持ちよく継続したいと思っている方が多いですよね。なのでそこを重点的に。

どうしたらいいの?

残念ながらこの腱板、切れてしまった場合はなかなかくっつきにくいんです。血の巡りがあまり良くないので他の筋肉より修復に時間がかかるうえ、特に「棘上筋」はゴムバンドのようにつっぱった状態で付いていますので切れると両端が離れてしまいます。

ですが、だいたいの場合は炎症を起こして腫れている状態で大きく切れているわけではありませんから、投球量を制限しながら腱板自体のトレーニングをすることでバランス良く動くように整えていく必要があります。

ではここで、腱板をトレーニングする時の注意点を一つ。

前回でもお話しした肩関節を右の側面から見た図を見てもらうとよく分かると思うのですが、「棘上筋」の上にカーポートのように被さっている屋根のような骨があります。これは「肩峰」という肩甲骨の一部で、鎖骨との「肩鎖関節」を作っています。

この「肩峰」と「鎖骨」のアーチが作る屋根の下を腕の骨(上腕骨)が滑り込むことで腕が上がるのですが、この隙間がなかなか狭い。
ここを筋肉がくぐるようにある=このアーチの隙間より分厚くなってしまったらつかえて動きが悪くなる

というわけで、むやみやたらにトレーニングすればいいというものではありません。

まず、第一ポイント

①「低重量+高回転」

「軽い負荷をたくさん行う」ということです。
たとえば、ボディービルダーの選手とマラソン選手の筋肉の付き方を思い浮かべてみて下さい。ボディービルダーの選手はムキムキでひとつひとつの筋肉が強調できるほど分厚くなっていますが、それに比べますとマラソン選手の筋肉はトレーニングが長時間にわたるにもかかわらずスリムな方が多いですよね。
これは、ランニングという自重(自分の重み)だけの負荷で長時間同じ動きを繰り返す、低重量+高回転のトレーニングのたまものといえるでしょう。

自宅で手軽に行うなら…
500mlのペットボトルに7割ほど水を入れて50~100回ほど行うとちょうど良いですよ。

次に、第2ポイント

②「ゆっくりからでも良いので正確に」

この腱板たち、しっかり筋肉の走行に合わせた方向でトレーニングしないとうまく動きません。
特に棘上筋は角度を合わせないと、上に被さっている大きなアウターマッスル(三角筋など)が働いて、効率的にトレーニングできないんです。

まず1つ目のトレーニング。
その角度は、

「水平内転45度、内旋45度の方向へ、外転30度まで。やや下方に向かって引き伸ばしながら。肩甲骨の面を安定させて。」

「????????」

何のことやらイメージしにくいですよね…笑

上から見た図      
      前から見た図

続いて2つ目、「肘90°屈曲状態で肩を内外旋。」

さらに3つ目、「腹臥位にて肩90°外転からの内旋。」

しかも、なんとなくわかっても、その角度をトレーニングしながらキープするのは難しい。
そう!そこ!そのために我々がいるんです!
当院で、角度を確認しながら、時には叱咤激励(!?)しながら頑張ってもらいます。

もちろんまずは、アウターをほぐさないことには始まりませんから、電気療法、マッサージ療法、はり治療、各種運動療法、動作指導など動きの連動性をとりながら、お一人お一人に合わせたタイミングと療法を選択して、スポーツの動きをスムーズに行えるよう導きます。
少し落ち着いてきたら、スピードアップのための体幹のトレーニングで内からの筋肉の支えも作りましょう。

当院では1時間枠で2人1組のトレーニング教室も行っております。
是非ご利用ください。

肩は関節の構造がとても複雑で、群を抜いて動きの大きな関節ですので、どこに問題があるのかを確実に見極めるのはとても難しいところです。特に生活の優先順位のなかでスポーツを楽しむことが上位にある場合にはスポーツ外傷の経験の多い専門の医療機関できちんと確認してから、それに向き合って治療を進めることが結果的に近道になることが多いですから、ご一緒に地道に頑張りましょう!

是非ご相談下さい\(^^)/

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